手縫いのサッカーボールと機械縫いのボールには大きな違いがある!

サッカーボール

ショップなどで販売されているサッカーボールを見ていると、

“手縫い”“機械縫い”といった、商品説明が書かれているのに気が付きます。

 

では、“手縫い”のボールと、“機械縫い”のボールには、

それぞれどんな特徴や違いがあるのでしょうか

 

サッカーボールを買う際に、どちらを選んだ方が良いのでしょうか

 

“手縫い”でも“機械縫い”でもないボールには、どのようなものがあるのでしょうか

“手縫い”と“機械縫い”はサッカーボールの製造方法!

サッカーボールには、いろいろな色やデザインの製品がありますが、

その表面の造りは、

最も一般的な五角形と六角形の人工皮革のパネル

組み合わせて造られているボールが、全体の大半を占めています。

 

それらのボール表面の、

個々の皮革パネルの間の接合されている部分をよく見ると、

縫い目が見えるものや、見えないものがあって、

その製品によって違いがあります。

 

このボールの表面を覆う人工皮革パネルの接合方法

“手縫い”“機械縫い”があるのです。

 

“手縫い”は文字通り、

五角形と六角形にカットされた皮革パネルを

1枚ずつ人の手によって縫い合わせて造られているものです。

 

一方、“機械縫い”は、

ミシンなどの機械で縫い合わせて製造されているボールです。

 

この二つのほかに、

“サーマルボンディング(熱接合)”という製法で造られるボールや、

“貼り”ボールという製品も販売されています。

 

手縫いのボールは最もポピュラーなサッカーボール!

サッカーボールは、昔は牛の膀胱に空気を入れて、

その周りを牛の革で包み、

蹴っても破れないように縫い合わせて造られていたそうです。

 

時が経って、牛の膀胱はゴム製のチューブになり、

周りを覆う牛革は現在、人工皮革になりました。

 

しかし、ボール表面の革素材を人の手で縫い合わせる製造方法は、

今も脈々と受け継がれていて、

手縫いのボールは現在でも最もポピュラーな

サッカーボールの主流となっています!

 

手縫いのボールのメリットは、

リーズナブルな値段でありながら、

品質が良くて、耐久性も高いことです。

 

しっかりと厚みのある耐摩耗性の高い人工皮革パネルを使えるため、

クッション性も良く

太くて強い糸でしっかりと縫い合わされることで、

変形しにくいボールに仕上がっています。

 

練習でも試合でも使用できる、強靭なボール手縫いボールです!

 

機械縫いのボールは個人練習用に使おう!

JFA(日本サッカー協会)が定めている、

公式試合球として使える“検定球”のボールの規格には、

「製造方法がミシン縫いのものは対象外とする」という記述があります。

 

つまり、機械縫いのサッカーボールは

検定を受けて公式球になることはできない、ということです。

 

機械縫いのボールは、ミシンを使って皮革パネルを縫い合わせるため、

手縫いのように太い糸を使うことができません。

また、人工皮革のパネルも、

ミシンの針が刺し通せる薄いものしか使えないのです。

 

その結果、どうしても強度を充分強くすることができず

練習や試合などで激しい使い方をすると、摩耗や変形を起こし

競技規則に定められている

サッカーボールの規格や品質を維持することができないのです。

 

そんな機械縫いのボールの最大のメリットは、

安い価格による入手のしやすさです。

 

強くボールを蹴らずに一人で行う、

リフティングやドリブルなどのボール扱いの技術練習でしたら、

充分に使うことができるでしょう。

 

自分用の個人練習ボールとして

機械縫いのボールを上手に活用すれば良いと思います!

 

手縫いのボールにもデメリットはある!

機械縫いのものに比べるとメリットの多い手縫いのボールにも、

やはりデメリットはあります。

 

手縫いで製造するため、

どうしても個々の縫い目の間隔はある程度荒くなってしまいます。

 

そのため、皮革パネル同士の間に僅かに隙間が残り

雨の日に使用するとその隙間から水が浸入して、

防水コーティングされている人工皮革のボールでも、

ボールの重さが重くなってしまうのです。

 

また、皮革パネルの中央付近は

クッションの効いた柔らかい蹴り心地になりますが、

パネル周縁の縫い目の部分はどうしても硬くなり、

蹴る場所によってボールのタッチが変わってしまうのです。

 

皮革パネルの縫い目部分は、

ボールの内部に折り曲げられて縫われていることから、

ボール全体の真球性も、一定以上にはできない限界があります。

 

しかし、こうした手縫いボールの弱点は、

サーマルボンディング(熱接合)のボールが開発されたことによって、

革命的に補われることになったのです!

 

サーマルボンディングは21世紀の究極のサッカーボール!

ボールメーカーのモルテン社“アセンテック”と呼んでいる、

“サーマルボンディング”のボールは、

表面の人工皮革パネル同士を、熱によって圧着接合しています。

 

そのため、接合部分が完全に密着していて隙間も縫い目もありません

 

この技術によって、ボールの吸水性は5分の1になり、

雨の中での使用においても、重くならないボールが誕生しました!

 

また、滑らかで継ぎ目が無いことによって、

ボールの真球性も格段に上がり

ボールのどこを蹴っても均一な蹴り心地が得られるようになりました。

 

ボールの命中精度を2.2倍も向上させるという、

プレーヤーの技術革新にもつながるメリットも生じました。

 

 

手縫いのサッカーボールには、1990年代まで、

パキスタンを中心としたアジアの開発途上国において、

大量の児童労働によって低コストで生産されていたという、

社会的な問題を生んだ負の歴史があります。

 

サーマルボンディングのボール

最新鋭の自動化ラインの工場で生産されるため、

そうした問題も改善されています。

2004年の欧州選手権以降、現在に至るまで、

W杯を始めとする世界中の公式試合球に採用されている

21世紀の究極のボールです!

 

今はまだ、ボールの価格が高いことが唯一のデメリットですが、

遠くない将来、

誰でも気軽に使えるボールになってくれることを、強く期待しています!

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