あなたは、「サッカーのポジションで一番難しいポジションはどこ?」
と聞かれたら、どう答えるでしょうか?
答える人によって、様々なポジションを挙げると思いますが、
最も多くの人が答える一番難しいポジションは、
“GK(ゴールキーパー)”ではないかと思います。
GKが難しいポジションだと思われるのは、どういう理由があるからなのでしょう?
また、GK以外のそれぞれのポジションで、
難しいと思える点は、どんなことなのでしょうか?
サッカーはGKの存在抜きでは語れない!
サッカーにおいて、GKとは、どのような意味を持つポジションなのでしょうか?
サッカーで、チームの中で唯1人だけ、
フィールド内で(自陣のペナルティーエリア内に限って)
手を使ったプレーを許されているのが、GKというポジションです。
また、サッカーのルール(サッカー競技規則)において、試合中に必ず1人、
常時置くことを規定されているポジションでもあります。
サッカーの試合は、両チームに1人ずつのGKの選手がいなければ、
成立し得ないのです。
試合中に、もしGKの選手が退場になった場合には、必ず代わりの選手をGKにして、
他のポジションの選手を1人減らさなければならないのです。
サッカーのゴールは、横7.32m、縦2.44mという、
人間が両手足を広げたサイズよりもはるかに大きな“口”を開けて、
フィールドの端でじっと鎮座しています。
そんな大きなゴールなのに、
簡単にはボールを蹴り込んで点を取ることができないのが、サッカーです。
それは、ゴールマウスの前に、GKという“守護神”が待ち構えているからです!
各チームの選手達は、値千金の重みがある1点を取るために、
力と技の限りを尽くして戦います。
そして、そんなプレーが、観る人の心を熱くしてくれるのです。
サッカーという競技が、世界で最も多くの人に愛されるスポーツに成り得たのは、
GKという、ゴールの価値を絶対的に高めるポジションが、存在したからなのです!
GKは絶対にミスが許されない最も難しいポジション!
GKは、自陣のゴールに最も近い、チームの最後尾に位置するポジションです。
“最後尾を守る”ということは、“自分の後ろには誰もいない”ということです。
GKがミスをした場合、誰もそれをカバーしてはくれない(カバーできない)のです。
GKのすぐ後ろにはゴールがありますから、
GKのミスは、即ち、相手に得点を献上することになります。
だから、GKは、絶対にミスが許されないポジションなのです!
そうかと言って、GKは、確実で安全に
ミスが起きないようなプレーだけをしているわけにはいきません。
相手の攻撃の選手は、何人もで束になって、
全力でゴールを挙げようと向かって来るのですから。
相手がゴールめがけて打って来る強烈なシュートを止め、
ゴール前に上げて来る高いクロスを身を挺してキャッチし、
スペースに通して来る鋭いスルーパスを飛び出してカットしなければなりません。
一瞬の迷いや、判断の遅れが命取りになる中で、
最も確実で最も効果的なプレーを瞬時に選択して、
それを絶対にミスすることなくやり遂げなければならないのです。
そこに、GKというポジションの最大の難しさがあると思います!
良いGKには多くの能力が備わっている!
Jリーグの清水や川崎Fで活躍したGK、西部洋平選手は、
本格的にサッカーを始めたのが高校生になってからという、異色のプロ選手です。
恵まれた長身の大きな体、抜群の身体能力、類まれな反射神経とセンス。
この3つの能力があれば、高校の3年間しかキャリアがなくても、
プロのサッカー選手になることができるという好例が、西部選手です。
それくらい、GKというポジションには、この3つの天性の能力が重要な要素なのです!
さらに、一流のGKになるためには、
チームの最後方からフィールド全体の状況を常に把握して、
味方の選手に的確な指示を出すことができる、優れたコーチング能力が求められます。
これは、多くの経験を積み、サッカーをよく知らなければできないことです。
GKは、ボールと他の選手の動きに応じて、
常に最適なポジションに自分の立ち位置を置くことで、
ゴールを守る守備的なプレーと、攻撃の最初の起点になるプレーの、
両方ができなければなりません。
1992年に導入されたバックパスルールによって、
GKにもフィールドプレーヤーと同じように、
足でボールを扱う技術の高さが求められるようになりました。
前線の味方への正確なロングキックによる、
ボールフィードもできなければなりません。
良いGKになるためには、これらの全てにおいて
最高の能力を身に付けていることが必要なのです!
世界最高のGKはまるで“リベロ”のようだった!
2014年ブラジルW杯において、その素晴らしいプレーで
世界最高のGKの座を勝ち取ったのが、ドイツのGKマヌエル・ノイアー選手です。
ノイアー選手は、192cm、92kgという大きな体と長い手足、
そして驚くべき反射神経で、多くの決定的なシュートをスーパーセーブで止めて、
決勝までの7試合で僅か4失点という攻守を見せました。
しかし、観衆が最も驚いたのは、彼のプレーエリアの広さでした。
ノイアー選手は、
味方のDF(ディフェンダー)が最終ラインを高く上げて攻撃をしている最中、
自分のポジションをペナルティーエリアのはるか前方に置いて、
まるで最後方のフィールドプレーヤーのような立ち位置でプレーをして見せたのです。
相手のロングボールを見事なヘディングでクリアし、
鮮やかな足技でボールをさばき、前方の味方へパスをつなぐ役割を果たしました。
そのプレーぶりは、GKを兼ねた“リベロ”のようでした!
新しい理想のGK像を確立した、彼の活躍によって、
ドイツ代表は4度目の世界一を勝ち取ったのでした!
サッカーの他のポジションでの難しい点
GK以外のポジションでも、それぞれに難しい点があります。
FW(フォワード)は、GK同様に優れた身体能力(足の速さ、ヘディングの強さ)と
センス(得点感覚)が必要であり、
1試合に何度も訪れない数少ないチャンスをゴールに結び付けなければならない
…という点が、最も難しい所だと思います。
MF(ミッドフィールダー)は、
高いボールコントロール技術とボールキープ能力が必要なポジションであり、
特にフィールド中央の位置でプレーするMFは、
前後左右、自分の周囲360度の状況を常に見回して把握しながら
プレーをしなければならない…という点が、難しい所だと思います。
DFは、相手のFWに負けないスピードと瞬発力、ヘディングの強さが必要であり、
味方同士の組織力が求められます。
ボールや相手選手の動きを見ながら、DF同士が連携して、
最適なタイミングで最終ラインを上げ下げすることで相手のオフサイドを誘う、
“ラインコントロール”が非常に難しい点だと思います。
このように、各ポジションに難しいことがあるからこそ、
上手くプレーできた時の喜びが大きいのも、サッカーの魅力です!
あなたも、頑張って練習を重ねて、
難しい点があっても少しずつクリアーしていきましょうね!