サッカーボールの“貼り”ボールは今その特徴を進化させている!

前回、サッカーボールには

“手縫い”“機械縫い”“サーマルボンディング”のボールがあることと、

それぞれの特徴を説明しましたが、

それらのほかにも、“貼り”ボールというものがあることを述べました。

【前回記事】→手縫いのサッカーボールと機械縫いのボールには大きな違いがある!

“貼り”ボールとは、どのようなボールなのでしょう

素人でも“縫い”ボールと見分けがつくのでしょうか

縫いボール貼りボールどちらかを購入するとしたら、

どちらを選んだら良いのでしょう

かつて子どもの練習用ボールは“貼りボール”だった!

現在、シニア世代になっているサッカー愛好者の皆さんは、

“貼りボール”と聞くと、

「昔よく練習に使っていたなぁ…」と懐かしくなるのではないでしょうか。

1980年代くらいまでは、小中学生が一般に使っていたボールは、

“貼りボール”だったと思います。

当時、ボールの表面が天然の牛革だった“縫いボール”は

とても高価で、

子どもが使うボールとしてはなかなか購入できなかったのです。

貼りボールは、空気が入っている球形のゴム製のチューブの表面に

合成皮革のパネルを“貼り”付けて造られているボールです。

皮革パネル同士を縫い合わせて接合している“縫い”ボールと違って、

表面パネル同士の間に継ぎ目がなく

ボール表面の凹凸が少ないので、

よく見れば素人の方でもすぐに見分けることができます。

一般的にバレーボールは貼りボールなので、

バレーボールをイメージしていただくと分かりやすいと思います!

貼りボールには子どもが使うメリットがあった!

かつての縫いボール天然皮革製だったこともあって、

貼りボールには、縫いボールと比べて次のようなメリットがありました

・製造工程で皮革パネルを縫い合わせる作業が不要なことと、

合成皮革を使えることで、価格の安い製品ができる。

・表面パネルが合成皮革なので、天然皮革パネルの縫いボールより、

重さが軽量にでき、手入れも不要である。

・合成皮革は吸水しにくく、縫い目からの水の浸入もないので、

雨などで濡れても重くなりにくい

・縫い目がないのでボール表面の凹凸が少なく、

ボールごとの球形の度合いにバラつきが少ない

・ボールに空気を入れっぱなしにしておいても変形しない

(天然皮革の縫いボールは伸びて変形が生じてしまうので、

使わない時は空気を抜く必要があった。)

このようなメリットもあって、かつての少年用のボールは貼りボールが主流でした

貼りボールのデメリットと縫いボールの改良による普及!

しかし、貼りボールには次のようなデメリットもありました。

  • 表面の素材が薄い合成皮革のパネルなので、ボールタッチがソフトでない
  • 空気をいっぱいに入れて使うため、固くて弾みすぎる
  • ボールが軽いので、風などの空気抵抗の影響を受けて曲がりやすい
  • 激しい練習などに使っていると、表面の合成皮革がすり減って、剥がれてくる

こういったデメリットから、貼りボールは公式試合球にはなれずに

安いゴムボールと高い天然皮革製縫いボールの、中間的な製品として位置づけられて、

リーズナブルな練習用のボールとして使われていました

1980年代に、

縫いボールの表面の材質にも人工の皮革パネルが使われるようになり

その後、機械縫いの製法での大量生産も可能になって

値段も安い縫いボールが販売されるようになったことから、

少年サッカー用にも縫いボールが使われることが一般的になっていきました

小さな子どもが初めて使うボールは軽い貼りボールでも良い!

現在でも、子ども用の4号軽量球や3号球といったボールには、

表面が柔らかい素材で作られている“貼り”ボールが販売されています。

小さな子どもにサッカーをさせようと思って、ボールを買い与える時に、

それが子どもにとって初めて使うボールでしたら

そういった軽くて柔らかい貼りボールを選ぶことは、悪い選択ではないと思います!

小さな子どもは、飛んでくるボールに対して

“こわい”という感覚があります。

当たっても痛くないボールで

サッカーボールに慣れさせることはサッカーに親しむ第一歩です。

子どもが本格的にサッカーをしたいと感じるようになったら、

年齢に応じたサイズの縫いボールを新しく買ってあげて、

最初の貼りボールは、

ご近所の小さな子に譲ってあげても良いのではないでしょうか…?

技術革新で公式試合球の貼りボールも登場!

バレーボールで世界的なボールメーカーである

日本のミカサ社は、サッカーボールも造っていますが、

得意としている“貼り”ボールの技術を革新させて、

JFA(日本サッカー協会)の検定球

FIFA(国際サッカー連盟)の認定もクリアした国際公認球

現在、貼りボールとして製造し販売しています

サーマルボンディングのボールのように、

高い真球度によるコントロール性能の良さと、

縫い目がなく吸水しにくいメリットを持ち、

衝撃吸収性に富んだ新構造ソフトな使用感も実現しています。

全日本大学サッカー連盟は、公式試合球にこのミカサの貼りボールを採用して、

国内で行われる大学生の諸々の大会に使用しています。

もはや、貼りボールは安価な子ども用のボールではなくなって、

将来はサッカーボールの主流を争うボールに、なっていくかもしれません!

サッカーボールの“貼り”ボールは今その特徴を進化させている!
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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