あなたのサッカーチームにも、“監督”がいるでしょうか?
もし、いるとしたら、その監督さんは、
チームの試合の時にどのような服装をしているでしょう?
プロのサッカーチームには、専任の監督がいるのが普通です。
そして、プロサッカーの試合を観ていると、ほとんどの監督が、
スーツにネクタイという服装でピッチサイドに立っていることに気が付きます。
プロサッカーの監督は、どうしてスーツを着ているのでしょうか?
プロサッカーチームの監督は試合の時にスーツを着ている人が多い!
Jリーグの試合や、海外リーグのサッカーの試合をテレビで観ていると、
ベンチ前で立ち上がって、フィールド内の選手に大声で指示を出している、
監督の様子が、頻繁に画面に映し出されます。
すると、その監督のほとんどが、
スーツにネクタイ、革靴を着用していることに気が付きます。
他のチームスタッフは、たいていジャージとスポーツシューズを身に付けている中で、
監督のスーツ姿はとても目立っています。
「スポーツの試合なのに、どうしてスーツを着ているの?」と、
違和感を抱く人も多いかもしれません。
プロ野球の試合では、監督もコーチも、
選手と同じユニフォーム姿で、ベンチの中にいるのが普通です。
バレーボールの監督は、いつもジャージ姿だったような気がします。
サッカーの監督がスーツを着ているのは、何か特別な理由があるからなのでしょうか?
Jリーグの監督にはスーツ着用を求められる決まりがあった!
日本国内のサッカーの試合を観ていると、
監督がスーツを着用しているのは、
プロサッカーや代表チームの試合に限られるような気がします。
高校サッカーの全国選手権などをテレビで観ていても、
スーツを着ている監督は、まず見受けられません。
そうすると、プロサッカーチームの監督には、
何かスーツを着なければならない理由があるのかも…と推測できます。
思った通り、Jリーグが発足した初期の1994年の申し合わせ事項には、
“監督はジャケットとネクタイを着用すること”という文言があったそうです!
その理由としては、海外のチームを迎えた時に、
相手チームに対して失礼のないように、見苦しくないようにするため
…ということだそうです。
その後、規則も改定されていき、現在は服装に関する規定は無く、
必ずしもジャケットとネクタイを着用しなくても良いことになっているようです。
確かに、実際にジャージやポロシャツ姿の監督も、
Jリーグの試合で見ることがありますよね!
監督はフィールド内に入れないからスーツ姿なのかも?
監督のスーツ着用の理由について、別の説もあります。
それは、
“サッカーでは監督がフィールド内に入ることを許されていない”ということと、
“監督は選手と明確に区別できるようにしなければならない”ということから、
あえて監督はスーツを着ている…という説です。
例えばプロ野球では、監督は普段はベンチにいますが、
選手交代を告げる時や、ピッチャーに指示をするために、
フィールド内に入ることがあります。
また、野球では、ベンチの中も“ファールグラウンドの一部”とみなされて、
ファールフライを捕るために選手が飛び込んで来ることもあります。
だから、選手と同じフィールドに立つ監督は、
選手と同じユニフォームを着ている…という考え方です。
しかし、実際のところは、プロ野球の監督がユニフォームを着ているのは、
かつてチームの主将格の選手が兼任で監督をすることが多かった時代に、
選手として出場するため当然ユニフォーム姿だったことから、
現在は専任の監督でもユニフォームを着ている…というのが、本当のようです。
プロ野球と違って、Jリーグでは選手兼任の監督は認められていません。
また、Jリーグではチームスタッフは、
選手のユニフォームと別の色の服を着なければならない規定があって、
試合中にフィールド内に入れないことも確かです。
試合以外のチーム練習の時などは、
監督もジャージなどの練習着姿で、
選手と同じピッチに立って指示を出している姿を見かけます。
試合の際にだけ、監督がスーツを着ているのだとしたら、
その理由の何割かは、こうしたことからなのかもしれませんね。
欧州のクラブの監督は正装が求められる!?
では、欧州などの海外リーグのクラブの監督が、ほとんどスーツを着ているのは、
日本のJリーグなどとは違う理由があるのでしょうか?
それには、こんな説があります。
欧州では、テニスなどは上流階級のスポーツとされていましたが、
サッカーは労働者階級のスポーツでした。
労働者階級の人達がサッカーをしていくためには、
チームを運営するために、上流階級の人達の金銭的な支援が必要でした。
試合には、そうした金銭支援をしてくれている出資者が、観戦に来ます。
監督は、チームの代表として、試合前後にそれらの上流階級の人達と会って、
挨拶をしなければなりません。
そうした時に、カジュアルなジャージなどの服装で会うわけにはいかないので、
監督は最初から正装のスーツ姿で試合の指揮を執っているのだ…という説です。
これは、一理あるのではないかと思います。
Jリーグの場合、クラブのメインスポンサーは大企業が占めていますが、
欧州のクラブは、大金持ちのワンマンオーナーが所有しているケースが
多く見られるからです。
Jリーグや代表チームの監督でも、
欧州から来た外国人監督は基本的にスーツ姿で、
南米などから来た監督にはジャージ姿が多いように思えるのも、
欧州では“監督はスーツ着用”という、伝統的な慣習があるからなのかもしれません。
やっぱり外国人監督のスーツ姿はクールだと思う!
監督のスーツ着用の理由には、これらの諸説がありますが、
その理由はともかくとして、
私個人的には、外国人の監督はスーツ姿が似合うカッコイイ人が多いと思うので、
日本人監督にも、見栄えのするスーツの着こなしを見習ってほしい…と思っています。
2009年10月のJリーグの試合中、インプレーを切るために
キーパーがフィールド内からタッチラインへボールを蹴り出した時に、
当時名古屋グランパスの監督だったドラガン・ストイコビッチ氏が、
スーツに革靴の身なりのまま、ベンチ前のテクニカルエリアから
ダイレクトボレーでそのボールをフィールドに蹴り返し、
見事ゴール内に蹴り込むスーパーボレーシュートを決めたことがあります!
それはもう“超・クールな、監督のプレー”でした!
その場で即刻、審判に退場を命じられてしまったところも、
“さすが、ピクシー!”でしたけど…。
あんなヤンチャなことをするスーツ姿の監督は、
もう金輪際、現れないかもしれませんね!