サッカーのバックパスをカットした選手がオフサイドになることはある?

サッカーの試合で、DF(ディフェンダー)として出場して、

自分がボールを持った時に、

相手のFW(フォワード)の選手がボールを奪おうと前線からプレスをかけてくるのって、

けっこう嫌なものですよね。

ついつい、無理をしないで後方にいる味方にバックパスで戻してしまう…

という方も、多いのではないかと思います。

そんな時、そこに思いもしなかった相手プレーヤーがいて、

バックパスボールをカットされたりしたら、もう最悪です!

でも、ちょっと待ってください。

バックパスのボールをカットした相手選手が

初めからオフサイドポジションにいたとしたら

その選手はオフサイドの反則になって

守備側のチームは間接フリーキックをもらえることになる…と思いませんか

オフサイドのルールでは、実際はどのようになっているのでしょうか

サッカーのオフサイドのルールをもう一度見直してみよう!

サッカーの試合で、守備側のチームのバックパスを攻撃側の選手が奪って、

シュートをして得点を挙げる…といったことは、さほど珍しくないプレーです。

そんな時に、審判がオフサイドを宣告したことって、見たことがありますか?

おそらく、一度も見たことはないと思います。

ここで、サッカー競技規則に書かれている、

オフサイドの反則を定めた箇所を、改めて見直してみましょう。

『 第11条オフサイド

(中略)

反則

ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間に

オフサイドポジションにいる競技者は、

次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっていると

主審が判断した場合にのみ罰せられる。

■プレーに干渉する。または、

■相手競技者に干渉する。または、

■その位置にいることによって利益を得る。

(後略) 』

オフサイドになるのは味方の選手がプレーしたボールにおいてのみ!

このルールを一見すると、オフサイドポジションにいた選手が、

(1)プレーに干渉する → ボールに関わる動きをする

(2)相手競技者に干渉する → 相手チームの選手のプレーに影響する動きをする

(3)その位置にいることによって利益を得る

→ オフサイドポジションにいたことで得をするようなプレーをする

といった場合には、オフサイドの反則になると読み取れるので、

相手チームのバックパスをカットした場合も、

(1)と(3)に該当して、オフサイドのファールの判定をされるように思えます。

ところが、そうではありません。

ポイントは、

ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間に

オフサイドポジションにいる競技者は」という部分です。

オフサイドの反則になるのは

味方チームの選手がプレーした(パスやシュートをした)ボールに対して

オフサイドポジションにいた攻撃側の選手がプレーをした場合のみなのです!

守備側の選手が出したパスに関わっても攻撃側の選手はオフサイドにはならない!

サッカー競技規則には、次のようにも書かれています。

『 オフサイドポジションにいること自体は、反則ではない。』

攻撃側の選手が、オフサイドポジションにいても

それだけで反則を取られることはありません

反則を取られるのは、その選手が、

味方の選手から出されたボールに反応してプレーをした瞬間なのです。

そして、ルールのどこにも、

オフサイドポジションにいる選手が、

相手選手の出したボールに反応してプレーをした時に反則になる…

とは書かれていません。

守備のポジションに付く選手は、この点をよく理解して試合に臨まないと、

不用意なバックパスなどをして痛い目に遭うことがあります。

守備側の選手が出したパスを奪い取ろうとするプレーをしても

攻撃側の選手は決してオフサイドにはならないのです!

バックパスとは本来推奨されない消極的なプレー!

オフサイドポジションにいる攻撃側の選手が、その位置にいることを生かして、

守備側の選手のバックパスをカットしようとするようなプレーは、

オフサイドのルールの起源にある

“待ち伏せは卑怯なプレーだから禁止!”

という考え方からは、反しているように思えます。

しかし、サッカーとは、

互いに相手ゴールに向かって、

相手の守備を打ち破りながらボールを前に運んでいくことに、

醍醐味があるスポーツです。

そうした“前進する”ことを避けて、

あえて後方へのバックパスをするような消極的なプレー

試合を観ている人達にとっては面白いものではありません

現に、プロのサッカーの試合では、

バックパスをして積極的に攻めようとしないチームには、

容赦のないブーイングが浴びせられます。

ボールを相手に奪われたくなくて、バックパスを使うこと自体は、

もちろん反則ではありませんが、

“正々堂々”と戦うことを良しとする

サッカーの精神からは反したプレーではないかと思います。

サッカーのルールで、試合中にプレーのリスタートを意図的に遅らせる行為は、

警告が与えられる“非紳士的行為”とされていますが、

バックパスも観客からしてみれば、

そうした行為と近いプレーだと、言えるのかもしれません。

したたかなFWの選手は常にバックパスを狙っている!

このような考え方に基づいてなのか、サッカーのルールの中には、

消極的なプレーであるバックパスを擁護するような内容は、含まれていません。

かつては認められていた、GK(ゴールキーパー)がバックパスを手で扱うプレーも、

味方が足でプレーした意図的なバックパスと、スローインについては、

1992年から禁止になりました。

2013年には、FIFA(国際サッカー連盟)から

オフサイドの競技規則の解釈に関する改正が、

加盟している各協会に対して通達されました

守備側の選手が意図的にプレーしたボールであれば

オフサイドポジションにいた攻撃側の選手がそのボールを受けてプレーをしても

オフサイド反則にはならないということが、ここで改めて示されました。

サッカーが盛んな南米では一般的ですが、

ポルトガル語で“マリーシア”と呼ばれる、ずる賢いしたたかなプレーや駆け引きが、

サッカーには存在します。

“正々堂々”というサッカーの本来の精神とはかけ離れているかもしれませんが、

今の世界のサッカーで勝つためには、ある程度必要なものです。

そんなしたたかさを持っているFWの選手

自分の姿が相手の視野に入らないように隠れながら、

オフサイドポジションに居ても、常に相手のバックパスのカットを狙っているはずです!

今後、あなたが試合でDFを務める時には、

そうした相手のプレーを充分警戒して、

バックパスを奪われないように気を付けていきましょうね!

サッカーのバックパスをカットした選手がオフサイドになることはある?
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