サッカーでドリブルをする際に、
ボールを扱う両足に履いている“スパイク”は、
選手にとって最も大切なツールです。
自分がサッカーを始めたばかりの頃、
カッコいいスパイクを履いてプレーすることに憧れませんでしたか?
サッカーのスパイクは、ほぼ全ての製品が“革”で作られています。
その種類は大きく分けて、
“人工皮革”の製品と“天然皮革”の製品に分けられます。
それぞれに使用されている革の種類によって、どのような違いがあるのでしょうか?
そして、革のスパイクは、使っているうちに固くなってしまって、
履き心地が悪くなること、ありますよね。
どうしてスパイクの革は固くなってしまうのでしょう?
固くなってしまったスパイクの革を、柔らかくする方法はあるのでしょうか?
サッカーのスパイクの人工皮革は進化して高性能になっている!
一般的に、“人工皮革”の製品は安価で、
“天然皮革”の製品は高価で品質も良いものだ、と思われがちですよね。
衣服や鞄、普通の靴などでは、その通りかもしれません。
サッカーのスパイクも、昔は人工皮革製のものを履いていると
「お前のスパイク、ク○リーノかよ~」などと
(某化学メーカーの代表的な人工皮革の商標で)言われて、
本革のスパイクを履いている友達に馬鹿にされることもありました…。
しかし、今はそんなことはありません!
現在の人工皮革は本当に進化していて、
各国の代表選手が履いているスパイクでも、
高性能になった人工皮革の製品がかなりの率を占めているのです!
人工皮革は、合成繊維を立体的に組み合わせて作った布に、
ポリウレタン樹脂などを染みこませて作られた人工素材です。
天然皮革と比べると、厚みや品質を均一にできるので
製品によるばらつきが無く、軽くて耐久性もあり、耐水性にも優れています。
安価な製品も多く、普段の手入れも簡単で済みます。
その一方、通気性や吸水性が無いことから蒸れやすく、
使っているうちに革が伸びて足になじむということがないため、
最初から足に合うものを選ばないとフィット感に欠けるといった欠点もありました。
しかし最近は、
通気性や柔軟性に優れた極細の繊維を使用して作られた人工皮革が製品に使われて、
高性能スパイクとして各メーカーから販売されています!
サッカーのスパイクで使われている天然皮革の種類と特徴!
そうは言っても、やはり天然皮革のスパイクは、
昔も今もサッカースパイクの主流だと思います。
サッカーのスパイクで使われている天然皮革は、カンガルー革と牛革です。
カンガルー革と聞くと、知らない人は驚くかもしれませんが、
サッカースパイクの素材としては昔から使われていて、
現在もプロの選手たちが愛用しているスパイクで天然皮革のものは、
カンガルー革の製品ばかりです。
カンガルーの革は、表面にしわが多くて見た目があまり良くないので、
衣類や鞄に使われることは少ないようですが、
牛革に比べて革が薄くて軽いこと、強度も優れていることから、
サッカーや野球のスパイク用として重用されています。
しなやかで、使っているうちに伸びて足にフィットするようになるため、
抜群の使い心地を得られる特長があります。
その一方で、革が柔らかいことから摩耗には弱く、
耐久性では牛革に劣ります。
また、カンガルーは牛ほど大量に革を得られないことから、
価格的にも高価な製品が多くなります。
近年、人工皮革のスパイクが増えている背景には、
革を取るためにカンガルーを殺すことを非難する動物愛護を訴える声に、
メーカー側が対応していることもあるようです。
他方、牛革はというと、
一般的にカンガルー革よりも革が厚く耐久性に優れ、
価格も安価なメリットがあります。
革が伸びづらいので、変形もしにくいのですが、
逆に、使っているうちに足になじむという点ではカンガルー革に劣り、
繊細なフィット感は得られにくくなります。
ただ、同じ牛革でも、
生後6ヶ月以内の子牛の革は“カーフ”と呼ばれて、
薄くて柔軟性に富んでいるためにカンガルー革と同様
高級素材として使われています。
それぞれの素材の長所を組み合わせて、
スパイクの先端部分に牛革を使い、
足を包む部分を人工皮革にしている高級スパイクも
製品化されて、販売されています。
天然皮革のスパイクが固くなる理由
天然皮革のスパイクは、使っているうちに固くなって
ゴワゴワになってしまうことがあります。
これは何故なのでしょう?
天然皮革は動物の皮を加工して作った素材ですから、
天然のタンパク質でできています。
新品の革製品は、革が加工された工程で
素材の中に水分や栄養分が保たれるようにされているので、
柔らかくしなやかな風合いを保持しています。
しかし、使っている最中に
いったん水に濡れて水分が内部に染みてしまうと、
その水分が乾燥する際に革の表面のなめし加工の効果が減少して、
本来革の内部に必要な、水分や栄養分も保持できなくなってしまうことから、
素材自体が乾燥で収縮してしまい、固くなってしまうのです。
ですから、もし濡らしてしまった場合は、
乾燥して固くなる前に必要な手入れをしなければならないのです。
そこが、人工皮革とは違う、天然皮革ならではの特徴のひとつなのです。
固くなった天然皮革のスパイクの革を柔らかくする方法
では、いったん固くなってしまった革を
元のように柔らかくするには、どうしたら良いのでしょう?
固くなった末に、表面にひびまで入ってしまったら、
残念ながら元のように戻すことはできません。
しかし、程度にもよりますが、
固くなってまだそんなに経っていないくらいでしたら、
手入れをすることで柔らかさを回復させることができます。
市販されている革製品専用の保湿栄養補給クリームや、
シリコンポリッシュというシリコン配合の栄養クリームを塗って、
革の内部に水分や油分を浸透させてあげると、
柔らかさが戻ってきます。
ただ、一度に大量に塗っても効果は限られるので、
少しずつ何日かに分けて繰り返し塗り込んだ方が、
より良い効果が得られると思います。
人工皮革は、その素材の性質上、
使っていなくても経年劣化で品質が落ちてしまい、
長く使い続けるのには限界があります。
でも、天然皮革は手入れさえしっかりすれば、
長い間使い続けることも可能です。
大切なスパイクですから、しっかりと革の手入れをして、
良い状態で長く使えるようにしていきたいものですね!