サッカーのドリブルのターンに、
“クライフターン”という技があるのを知っていますか?
クライフターンを覚えようと思って、実際にやってみると、
「ボールが足に引っかかってしまってなかなか上手く決まらない…」
ということも多いのではないでしょうか?
クライフターンをきれいに決めるコツはあるのでしょうか?
また、クライフターンはどのような時に使えば有効なのでしょう?
成功しやすい場面や、
逆に失敗しやすいのでやらない方がよい場面などはあるのでしょうか?
クライフターンは、相手ディフェンダーを抜く必殺のドリブルテクニック!
“クライフターン”は、1970年代にオランダ代表として、
またアヤックスやバルセロナの中心選手として活躍した
ヨハン・クライフ選手が完成させた技として、その名を冠して呼ばれています。
サッカーのドリブルをしている時に、
軸足の後ろ側にボールを通して方向転換をする、ターンの技のひとつです。
それではまず、クライフターンはどのように行うのか、その技の流れを説明します。
- ドリブルで相手ディフェンダーに近づいて、技をかけるタイミングをはかる。
- 足元のボールの真横よりも進行方向側の位置へ軸足を踏み込み、
- 蹴り足でボールを前方に蹴ろうとするキックフェイントをする。
- 蹴り足をボールの外側・横で止めて、
足のインサイドまたはインフロントを使って、
ボールを軸足の裏側に通して、横方向に押し出す。 - ボールが体の後ろを通って横に動くのに対し、
体は前方から回転させて、ボールの進む横方向へとターンをする。
…といった感じです。
このターンは、軸足を相手とボールの間に踏み込むことで、
相手がにボールを奪われにくいというメリットもあります。
また、前方にボール蹴ると見せて突然横方向にターンをするため、
相手の意表を突いて一発で抜き去ることが可能な、
必殺のフェイントとして使えます!
忘れられないのが、2010年南アフリカW杯に出場した
日本代表のグループリーグ最終戦・デンマーク代表との試合で、
本田圭佑選手が見せたクライフターンです。
この試合の先制のゴールを35mの直接フリーキックで挙げていた本田選手は、
残り時間僅かとなった後半42分に、
後方からからのパスをペナルティエリアの外側でトラップした瞬間、
鮮やかなクライフターンで相手ディフェンダーをかわして縦に抜け出し、
飛び出して来た相手ゴールキーパーもかわして、
ゴール前の中央にフリーで走り込んでいた岡崎慎司選手にラストパスを送りました。
日本の勝利と決勝トーナメント進出を決定づける3点目のゴールを生んだ、
まさに“必殺”の切れ味のクライフターンでした!
クライフターンを上手く決めるコツ!
クライフターンをしようとして、
軸足にボールが当たって上手く決まらないような時は、
軸足を踏み込む位置に問題があることが多いと思います。
軸足がボールの真横に入ってしまうと、
蹴り足でボールを横に送ろうとしても軸足に当たってしまいます。
軸足は、ボールの真横よりも思い切って前方に踏み込んでみましょう。
そして、蹴り足もボールの外側真横よりもやや前方に振り下ろして、
前に進むボールを足のインサイドに上手く当てることができれば、
スムーズに軸足の後ろ側にボールを送ることができると思います。
軸足を深く前に踏み込む動作は、
体が勢いで前方に流れてしまうのを踏み堪えるのにも役立ちます。
このほか、ボールだけが体の後ろを横に転がって行って、
体のターンがボールについて行くことができないことで
相手にボールを奪われてしまうという、失敗例も多いと思います。
そのような場合は、軸足を踏み込む時に、
思い切って体をボールを進ませようとする横方向に傾けてみましょう。
さらに、蹴り足でボールを横に押し出した瞬間、
軸足側の腕を横に強く振って回転する勢いをつけることで、
体を横方向に一気に方向転換することができるはずです。
そして、そこから蹴り足をすぐ地面に着地させて体重を受け止めて、
横方向に強く踏み出す支点にしましょう。
あとは、相手をイメージしながら繰り返し練習して、
技をかけるタイミングを覚えましょう!
クライフターンを使うのに有効な場面と、失敗しやすい場面
クライフターンを実戦で上手く決めるためには、
相手をキックフェイントで完全に前方に引き付けることが必要です。
したがって、前方向にスペースがあってドリブルでさらに前進できるような状況や、
味方が前方にいるような状況だと、フェイントが効きやすくなります。
また、相手を十分に引き付けて接近した状態で行う方が、
相手の視野からボールを自分の体で隠した中で行うことができるので、
成功しやすくなります。
ピッチのサイドのタッチライン沿いを縦にドリブルしていて、
相手ディフェンダーが行く手を阻もうとした時に、
インサイドに切れ込むターンとして使ったり、
逆にインサイドに切れ込むドリブルをしている時に
パスを出すように見せて、縦に抜け出すターンとして使ったりすると効果的です。
こうした時は、ターンの後にドリブルで進む方向にスペースがあることも、
確認した上で使いましょう。
いくらターンが上手く決まっても、そのすぐ先で別の相手ディフェンダーに
ボールを奪われてしまっては、元も子もありません。
また、クライフターンは
速いスピードでドリブルをしている最中に行おうとすると、
ボールを上手く軸足の後ろに送ることができず、
体も前方に流れてしまうので失敗しやすくなります。
速いスピードでドリブルをしている場合は、
いったんドリブルの速度を落として、
緩急のドリブルでさらに前方へ素早く抜け出すように見せる
フェイントを入れてクライフターンを使うと、
相手を上手くだまして成功させることができます。
実戦の試合でクライフターンを使って、
本田選手のように決定的な場面で決められるように、頑張って練習しましょう!