サッカーのポジション~“ウイング”はサイドを切り裂くドリブラー!

サッカーのポジション

サッカー“ウイング”というと、どんなイメージを連想しますか?

 

“ウイング”とは、“翼”を意味する言葉の通り、

サッカーでもチームの両翼の位置、

最前線の左右のタッチライン沿いのエリアでプレーをする

FW(フォワード)の選手のことを指します。

 

それでは、ウイングとは、どんな役割をするポジションなのでしょうか

そして、ウイングの選手にはどのような能力が求められるのでしょうか

 

代表的なウイングの選手には、どんな選手がいるのでしょう

“ウイング”とは最前線の左右に位置するFWのポジション!

19世紀の半ばに、イングランドでサッカーという競技が誕生して間もない頃、

攻撃は、ボールを持った選手がドリブルで攻め込むか、

前方のスペースへボールを大きく蹴り出して突進する、

キック・アンド・ラッシュの戦法が基本で、

選手のほぼ全員がFWの選手だったそうです。

 

何だか、幼稚園の子がするサッカーみたいで、今にしてみれば面白いですよね。

 

その後、フィールドを広く使ってパスを繋いで攻める戦法が用いられるようになると、

ポジションの概念が普及していき、

20世紀の初め頃にはFWが5人いる、

2-3-5のフォーメーションが主流になったそうです。

 

その5人いたFWの、左右両端に位置した選手のことを

“レフト(左)ウイング”“ライト(右)ウイング”と呼びました。

時の流れと共に、FWの選手が4人から3人へと減っていった布陣においても

最前線の左右のFWの呼び名として、そのまま使われていきました

 

“翼”とは、元々左右の一対になって存在するものですから、

20世紀の後半になって誕生した、

FWの選手が2人のツートップや、1人のワントップの布陣の場合は、

“ウイング”と呼ばれるポジションは存在しないことになったわけです。

 

ウイングの役割はサイドからゴールに繋がるクロスを上げること!

1960年代に主流になった4-3-3のシステムでは、

前線の3人のFWが攻撃専門の選手として配置されていました。

 

当時のFWは相手が攻撃をしている時も守備には戻らず、

最前線に残って味方からのボールが出て来るのを待ちました。

DFやMFの選手は、相手からボールを奪うと、

両サイドに開いて待ち構えているウイングの選手に、パスを送ります。

 

ウイングの選手はボールを受けると、

タッチライン沿いをドリブルで駆け上がって敵陣のゴールライン近くまで行き、

相手DFをかわして、ゴール正面にいる中央のFW=CF(センターフォワード)の選手に

正確なクロス(昔はセンタリングと言いましたが)を上げます

そのクロスボールを、CFの選手がシュートしてゴールを決める…というのが、

各チームの絶対的な得点パターンだったのです。

 

ウイングの選手の役割は、CFのゴールをお膳立てする

サイド攻撃のスペシャリストだったのです!

 

ウイングに求められる4つの能力!

ウイングの選手には、そうした自分のポジションの役割を果たすために、

4つの秀でた能力が必要だと思います

 

1つめは、スピード

スペースに出されたロングボールにも相手より先に追い付くことのできる快足と、

相手の脅威となり得る縦へのドリブルスピードが必要です。

 

2つめは、ドリブルの技術です。

相手DFをかわしながらボールをキープして、

中央に切れ込むと見せて縦に抜けたり、

タックルを鮮やかに切り返しでかわしたりしながら、

中央のCFが欲しがるベストのタイミングに合わせて

クロスを上げることができなければなりません。

 

3つめは、正確なキックの技術です。

相手DFにカットされない弾道で、

味方のCFが得意としている、利き足やヘディングでのシュートが可能な

ピンポイントの位置に正確にクロスを入れることができなかったら、

得点に結びつけることは困難です。

 

最後の4つめは、強いメンタルです。

相手DFとの1対1の勝負には絶対に勝てるという、強い自信を持ち、

どんなDFを前にしても、恐れず、ひるまず、ドリブルで勝負をしかけていき、

「自分がボールを持ったからには、必ずCFへラストパスを届けるんだ!」という

強い意志がウイングの選手には絶対に必要なのです!

 

日本にも名ウイングの選手がいた!

これらの能力を併せ持っていた、

サイド攻撃のスペシャリストの選手達が、

日本のサッカー界でも名を残しています。

 

 

1968年メキシコ五輪の三位決定戦で、

この大会で得点王となった釜本邦茂選手の2ゴールをアシストして、

日本の銅メダル獲得に大貢献したのが、杉山隆一選手です。

 

当時、快足の左ウイングとして、

釜本選手との名コンビを組んで、日本代表で活躍しました。

 

 

Jリーグが始まる前の1988年、1989年に、

日産自動車サッカー部(現・横浜Fマリノス)で

日本リーグ・JSLカップ・天皇杯2年連続三冠に貢献した

右ウイングのスペシャリストは、長谷川健太選手でした。

 

2014年には、選手時代には成し得なかったJリーグ年間王者を、

監督として勝ち取りましたね。

 

草創期のJリーグでは、清水エスパルスのFWとして

一試合に何度でも、右サイドを敵陣深くまでドリブルで駆け上がり、

どんなに相手が守ろうとしても、

それをかわして必ずゴール前にクロスを上げてゴールチャンスを演出していた、

ひたむきなプレーを今でも覚えています!

 

世界の名ウイング達はストライカーを兼ねている!

世界的な名ウイングを挙げるとすれば、

私が推すのは、1990年代から2000年代にかけて欧州で大活躍した、

ポルトガル代表のルイス・フィーゴ選手です。

左サイドを華麗なドリブルで駆け上がり、

正確無比なピンポイントクロスを入れるプレーは、本当に素晴らしいものでした!

 

 

20世紀の終盤以降、世界のサッカーは

FWにも前線での守備を、DFにも攻撃への参加を求めるように変化していき、

ウイングの選手の役割も変わっていったため、

現在は、かつての純粋なウイングタイプの選手は少なくなりました

 

現在のウイングには、ゴール前にクロスを供給するだけではなく

内側に切れ込んでゴールを挙げるストライカーとしての能力

強く求められています

 

かつては右利きなら右サイドというように

利き足と同じサイドのウイングが多かったのですが、

現在は利き足と逆のサイドのウイングを務める選手が増えています

サイドからゴール前へとカットインして行った時に、

利き足で強烈なシュートが打てるからです。

 

 

そうした、現代的なウイング兼ストライカーの数多くの名選手が、

今も世界のトップを争うチームで活躍していますが、

その中でも世界の最高の選手は、

オランダ代表のアリエン・ロッベン選手ではないでしょうか!

 

快足とドリブルの技術、左足でのシュート力を兼ね備えていて、

2013年にはバイエルンミュンヘンを世界王者に導きました。

相手DFにとっては本当に脅威の選手だと思います!

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