あなたの入っているサッカーチームの監督は、
現役時代にどこのポジションだったでしょうか?
サッカーは、11人の選手がチームとして戦うため、
試合に出場する選手の選考、選手を配置するポジション、
フォーメーションや試合における戦術…など、
監督が試合に臨む際に決める内容が勝敗を大きく左右します。
そんなサッカーの監督として成功するためには、
現役時代にどこのポジションをしていたら有利なのでしょうか?
“監督として成功するポジション”というものが、存在するのでしょうか?
プロサッカー選手の経験がなくても、プロの監督として成功している人がいるのでしょうか?
Jリーグの監督達の現役時代のポジションは?
現在、プロサッカーチームで監督を務めている人達は、
現役時代にどこのポジションでプレーをしていたのでしょうか?
その傾向を知るために、
2016年シーズンのJリーグ・ディヴィジョン1(J1)を戦う、
18チームの開幕時点の監督について調べてみました。
その結果、各チームの監督の現役時代のポジションは、
- DF(ディフェンダー):6人
- MF(ミッドフィールダー)またはDF:4人
- MF:5人
- FW(フォワード):2人
- 不明:1人
という内容で、DFとMFをしていた監督が多数を占めて、
FWは少数派、GK(ゴールキーパー)だった監督は一人もいない
ということが分かりました。
さらに、この18人の内3人の監督については、プロの選手としての経験がない、
ということも分かりました。
プロの監督になるために、必ずしもプロサッカー選手としての経歴は必要ない、
ということなのですね。
監督として成功した人の現役時代のポジションは?
プロサッカーチームの監督に就任したものの、
目立った成果を挙げられないでいる人も、数多くいます。
どんなリーグや大会であっても、優勝できるチームはたった1つなのですから。
そこで、成功を収めた監督達が、現役時代にどこのポジションだったのか、
改めて歴代の“最優秀監督”について調べてみることにしました。
日本のJリーグは、年間表彰式の“Jリーグアウォーズ”において、
各シーズンの最も優れた監督に“最優秀監督賞”を授与しています。
監督を務めている方々にとっては、大変栄誉のある賞だと思います。
Jリーグが始まって以来23シーズンの間に、
最優秀監督賞を受賞した15人の監督(複数回の受賞監督が6人います)について、
現役時代にどこのポジションだったのかを調べた結果が、次の通りです。
- DF:8人
- MFまたはDF:5人
- MF:2人
- FWまたはMF:1人
- FW:1人
- 選手経歴なし:2人
- 不明:1人
成功を収めた監督についても、現役時代にDFかMFだった人数がやはり多く、
特にDF経験者の比率が高いという傾向が伺えました。
現役時代のポジションと、監督としての成功には、ある程度の関係がありそうです!
その一方で、選手としての経歴がない監督も、成功を収めているということは、
とても興味深いですね。
名選手必ずしも名監督にあらず?
「名選手、必ずしも名監督にあらず」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
“選手として優れていた人が、優れた監督になるとは限らない”
という意味の格言ですが、これはサッカーにも当てはまるようです。
2007年~2009年にかけて、
鹿島アントラーズの監督としてJ1リーグの3連覇を成し遂げ、
先ほどのJリーグ最優秀監督賞を3度受賞したオズワルド・オリヴェイラ氏は、
母国ブラジルの名門クラブ、コリンチャンスも監督として世界一に導いています。
そんな彼には、サッカー選手としての経歴は全くなく、
大学を卒業後にフィジカルコーチの道を進み、
49歳で初めてプロサッカーチームの監督に就いた、“名選手ではない名監督”なのです。
その逆が、アルゼンチンのディエゴ・マラドーナ氏です。
世界最高のサッカー選手と言われ、
選手時代に数えきれないほどのタイトルを受賞したものの、
引退後の監督としての成績は、2010年南アフリカW杯で
母国の代表を率いてベスト8に入ったこと以外には、目立ったものがありません。
その一方で、名選手の経歴と名監督の実績を併せ持つ、
旧西ドイツのフランツ・ベッケンバウアー氏のような人もいます。
選手としての能力と、監督としての能力の間には、特別な関係はない…
と言えるのかもしれませんね。
現役時代のポジション別に見た名監督!
それでは、現役時代のポジション別で見た名監督には、
どのような監督がいるのでしょうか?
日本人と外国人の、新旧の有名な監督の名前を挙げていってみます。
FW(フォワード)
○長谷川健太監督
2013年にガンバ大阪の監督に就任し、J2降格1年目で優勝を飾り、J1復帰を決める。
翌2014年は、J1昇格1年目のチームとして初の、
J1リーグ、天皇杯、Jリーグ杯の3冠を達成。
2015年は天皇杯を連覇し、Jリーグ杯は準優勝。
元、日本代表のFW(右ウイング)。
○ヴァヒド・ハリルホジッチ監督
欧州やアフリカで監督としての実績を残し、2015年より日本代表の監督に就任。
現役時代は旧ユーゴスラビア代表のFWとして1982年スペインW杯に出場。
○マリオ・ザガロ監督
母国ブラジル代表の監督として、1970年メキシコW杯、1994年アメリカW杯を制覇。
1998年フランスW杯は準優勝。
選手時代はブラジル代表のFW(左ウイング)として、
1958年スウェーデンW杯、1962年チリW杯を連続優勝している。
MF(ミッドフィールダー)
○森保一監督
2012年にサンフレッチェ広島の監督に就任後、4年間で3度J1リーグを制覇。
元、日本代表の守備的MFで、日本のボランチの先駆者。
○カルロ・アンチェロッティ監督
欧州のビッグクラブの監督を歴任。
ACミランで2度、レアルマドリードで1度、UEFAチャピオンズリーグを制覇。
FIFAクラブW杯も両チームで1度ずつ制覇。
元、イタリア代表のMFとして、1990年イタリアW杯で3位。
○ジョゼップ・グアルディオラ監督
FCバルセロナの監督に就任後、スペインリーグを3連覇。
その後、監督に就いたバイエルン・ミュンヘンでも、
ブンデスリーガを2連覇した、優勝請負人。
元スペイン代表のMFとして、1994年アメリカW杯でベスト8。
DF(ディフェンダー)
○岡田武史監督
W杯に2度日本代表を率いた唯一の監督。
2010年南アフリカW杯では、自国開催以外で初のベスト16入り。
横浜Fマリノスの監督としても、2003年、2004年のJ1リーグを連続制覇。
元、日本代表のDF(センターバック)。
○ネルシーニョ・バプティスタ監督
母国ブラジルでは、有名クラブの監督を歴任。
日本のJリーグでは、
1995年にヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)監督としてステージ優勝。
2011年~2014年にかけて、柏レイソルを率いて、
J2リーグ優勝、J1リーグ優勝、天皇杯優勝、Jリーグ杯優勝と4年連続でタイトルを獲得。
選手時代はDF(右サイドバック)としてブラジル国内リーグで15年に渡って活躍。
○フランツ・ベッケンバウアー監督
旧西ドイツ代表チームを率いて、1990年イタリアW杯で優勝。
マリオ・ザガロ氏以来2人目の、選手と監督の両方でのW杯優勝経験者となる。
元、西ドイツ代表のDF(攻撃的スイーパー)として、1974年西ドイツW杯制覇。
世界に“リベロ”というポジションを確立して、“皇帝”と称された名選手。
いかがでしょう? このようにして見ていくと、
現役時代のポジションがたとえどこであっても、
監督としての資質がある人なら、名監督になれる!…と思えてきますよね。
ただし、元GK(ゴールキーパー)の人だけは、例外なのかもしれませんが!