サッカーでは、特定の攻撃的な選手を指して、“シャドー”と呼ぶことがあります。
この、“シャドー”とは、“シャドー(影の)ストライカー”という意味です。
では、シャドーストライカーとは、どこのポジションの選手のことを言うのでしょう?
FW(フォワード)やMF(ミッドフィールダー)とは違うのでしょうか?
代表的なシャドーストライカーの選手には、どのような選手がいるのでしょうか?
シャドーストライカーとは“1.5列目”の攻撃の選手のこと!
サッカーでは、積極的にシュートを打って得点を狙う選手のことを、
“ストライカー”と呼びます。
そして、監督はストライカーの選手を、最も相手ゴールに近い
CF(センターフォワード)のポジションでプレーさせるのが一般的です。
そうしたストライカーの選手のやや後方(影)の位置から、
常に相手ゴールを狙うプレーをする第2のストライカーのことを、
“シャドーストライカー”と呼ぶのです!
つまり、“シャドーストライカー”とは、
FWやMFといったサッカーのポジションの一つを指すのではなく、
第2のストライカーの働きをする選手の“役割”のことを指す言葉なのです。
通常、FWのことを“トップ”とか“1列目”と呼び、
MFのことを“2列目”と呼びますが、
そのFWとMFの中間に当たる、“1.5列目”の位置でプレーをする攻撃の選手が、
シャドーストライカーの役割を担います。
シャドーストライカーのポジションはST(セカンドトップ)かトップ下!
かつて、FWの選手が3人いる“スリートップ”のフォーメーションが主流だった時は、
両サイドのFWであるウイングが最前線までボールを運び、
サイドからゴール前にクロスを入れて、
それを中央のFWであるCFがシュートを打ちゴールを決める…というのが、
得点を挙げるための代表的なパターンでした。
その後、FWの選手を2人に減らした“ツートップ”の布陣が主流になっていく過程で、
片方のウイングの選手が中央寄りに位置を移して“ST(セカンドトップ)”となり、
CFの周囲でプレーをしながら得点を狙う、
シャドーストライカーの役割を担うようになりました。
さらに、FWの選手をCFただ1人とする“ワントップ”のフォーメーションが生まれると、
CFのすぐ後ろでプレーをする中央のOMF(オフェンシブミッドフィールダー)、
すなわち“トップ下”のポジションの選手が、
シャドーストライカーの仕事をするようになります。
このように、シャドーストライカーの役割を担うポジションは、
チームのフォーメーションに応じて変わってくるのです!
シャドーストライカーは点を取ることを求められる!
サッカーで、最も得点を期待されるポジションは、
相手ゴールに一番近い位置のCFです。
そして、CFに次いで点を取ることを求められるのが、
シャドーストライカーなのです!
シャドーストライカーは、最前線のCFに比べると
相手DF(ディフェンダー)のプレスが厳しくないので、
前を向いてボールを持ってプレーすることができます。
そこで、CFの選手が楔(くさび)役になってポストプレーをしたボールを拾い、
シュートを打って得点を狙います。
また、SH(サイドハーフ)やSB(サイドバック)の選手が
両サイドから中央にクロスを入れてきたボールを、
CFが相手DFと競り合った後、そのこぼれ球を狙って、シュートを放ちます。
さらに、相手DFの最終ラインの後方のスペースへ、
MFからのスルーパスに反応して一早く抜け出し、
前に飛び出して来る相手GKよりも先にボールに触れて得点を挙げるようなプレーも、
シャドーストライカーの仕事です。
このような働きをするために、シャドーストライカー役の選手は、
比較的小柄で俊敏な、シュート技術に優れた選手であることが多いと思います。
代表的なシャドーストライカーの選手達!
それでは、代表的なシャドーストライカーにはどのような選手がいるのか、
名前を挙げていってみましょう。
Jリーグのシャドーストライカー達
2015年のJ1リーグチャンピオンを勝ち取ったサンフレッチェ広島は、
CF佐藤寿人選手のシャドー役を担ったドウグラス選手が、
得点ランキング2位となる21ゴールを挙げて、チームの優勝に大きく貢献しました。
同年の1stステージを制した浦和レッズでは、
武藤雄樹選手がCF興梠慎三選手のシャドーとして、
チーム最多となる13ゴールを挙げて大ブレイクしました。
年末のチャンピオンシップを広島と争ったガンバ大阪では、
CFパトリック選手のシャドー、宇佐美貴史選手が
19ゴールを挙げて、前年に続いてチームを強くけん引しました。
このように、シャドーストライカーがCFよりも多くの点を取っているチームは、
リーグの優勝争いをしていることが分かります!
W杯を戦ったシャドーストライカー達
2010年南アフリカW杯で、日本代表チームの岡田武史監督は、
大会直前で戦術変更を決意して、
本田圭佑選手をワントップに置く布陣で本線に臨みました。
この時、本田選手の両サイドやや後方のポジションの
松井大輔選手と大久保嘉人選手が、“ツーシャドー”の役割を担って奮闘しました。
2014年ブラジルW杯の日本代表では、
アルベルト・ザッケローニ監督が、今度は大久保嘉人選手をワントップに使い、
本田圭佑選手をトップ下のシャドーストライカーに据えました。
2014年W杯では、
ブラジル代表のネイマール選手はCFフレッジ選手のシャドーを、
アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手は
CFのゴンサロ・イグアイン選手のシャドーの役割を、
それぞれ両国のエースとして担って活躍しました。
同じ2014年W杯で5得点を挙げて
ドイツ代表の優勝に貢献したトーマス・ミュラー選手は、
2010年W杯でも史上最年少の20歳で得点王にも輝いており、
世界最高のシャドーストライカーと言って良いのではないかと思います!
シャドーストライカーの役割を担っている選手は、
試合の勝利を決める得点を取ることのできる、
優れた選手達だということが改めて分かりますね!
あなたも、シャドーストライカーを任せられる選手になれるよう、
大いに自分のシュート力を磨いていきましょう!