あなたには、お気に入りのサッカーの監督はいますか?
Jリーグや海外のプロサッカーの試合を観ていると、
ベンチ前で選手に指示を送る監督のカッコイイ姿に、憧れますよね!
「僕はサッカーが大好きなんだけど、
プロのサッカー選手にはなれそうもないから、サッカーの監督になりたい!」
と思っている人って、結構いるかもしれません。
サッカーの監督になるには、具体的にどうすればいいのでしょう?
Jリーグのクラブの監督になるには“S級コーチ”資格が必要!
現在、日本プロサッカーリーグ=Jリーグの各クラブの
トップチームを率いる監督は、
全員がクラブとプロ契約を交わしている“職業監督”です。
サッカーが大好きで、将来サッカーに関わる仕事をして生きていきたい…
という夢を描いている人にとって、
サッカーチームの指揮を執ることを生業としているプロサッカーの監督は、
憧れの“職業”かもしれません。
でも、Jリーグのクラブの監督になるためには、
“資格”が必要なことを、ご存知でしょうか?
その“資格”とは、
JFA(日本サッカー協会)が認定する“S級コーチ”という指導者資格です。
この資格を持っている人、または、
この資格に相当するとJFAが認める指導者としての実績がある人でなければ、
Jリーグのクラブは、トップチームの監督に任命することができない…と、
Jリーグの規則に明記されているのです。
では、“S級コーチ”という指導者資格さえ取ることができれば、
サッカー選手としての経歴がない人でも、
Jリーグのクラブの監督になることができるのでしょうか?
指導者資格を取ればプロ選手の経歴が無くても監督になることができる!
2016年シーズン開始当初のJリーグ・ディビジョン1(J1リーグ)の監督の中に、
プロサッカー選手の経歴が無い監督がいます。
FC東京を率いる、城福 浩 監督です。
彼は、高校→大学→社会人と、アマチュアのサッカー選手として活躍したものの、
日本でサッカーのプロ化が始まる以前に、現役を引退して、
その後は企業で一般職の社員として働いていたのです。
しかし、数年後に、
会社のサッカー部で指導者になっていた、元チームメートから推薦されて、
業務命令で会社のサッカー部のコーチに就任することになり、
指導者としての道を歩み始めたそうです。
そして、さらに数年後に、
プロ化してJリーグ参入を目指そうとしていたFC東京からの勧誘を受けて、
勤めていた会社を退職。
指導者としてサッカー界に恩返しすることを志し、
JFAの“S級コーチ”の資格を取得したそうです。
城福監督以外にも、過去のJリーグの監督の中には、
プロ選手の経歴がない監督が大勢います。
それでは、“S級コーチ”の指導者資格というのは、
どのようにすれば取ることができるのでしょうか?
“S級コーチ”資格を取るのは容易なことではない!
2016年1月、JFAは元日本代表DFの宮本恒靖氏らを、
S級コーチとして認定したことを発表しました。
これにより、S級コーチの資格所持者は、合計429人になったそうです。
「ええっ!?日本でプロサッカーのJリーグが始まって24年目なのに、たった429人!?」
と、思いますよね!
それもそのはずです。
JFAが毎年主催している、“公認S級コーチ養成講習会”の定員は、
わずか20人に限られるのですから!
毎年、講習会の受講者が全員合格したとしても、
年に20人しかS級コーチの資格を新たに得ることはできないのです。
そのS級コーチの資格を取るための講習会に参加できるのは、
受講希望者の中から、JFA 技術委員会が
指導実績や競技実績などを元に選考によって決定した人に限られるのです。
さらに、S級コーチの講習会に受講申し込みをして、JFAの選考を受けるのにも、
S級の1ランク下の資格である
“A級コーチジェネラル”という資格を取得していなければならないのです!
これはどうも、監督になるためのS級コーチの資格を取ることは、
たとえプロサッカー選手としての輝かしい経歴がある人であっても、
容易ではない…ということのようですね。
プロの監督になるための“ルートマップ”はこうだ!
それでも、容易ではないけれど、決して可能性がゼロではない、
プロサッカー監督になるためのルートマップを、思い描いていってみましょう!
(1)18歳以上になったら、JFAのC級コーチ養成講習会を受講して、
C級コーチの資格を取る。
(2)大学に進学して中学・高校の教員免許を取る。
(3)22歳以上になったら、JFAのB級コーチ養成講習会を受講して、
優秀な成績でB級コーチの資格を取る。
(4)中学または高校の教員になり、サッカー部の顧問になって指導経験を1年以上積む。
(5)JFAのA級コーチジェネラル養成講習会を受講して、
優秀な成績でA級コーチジェネラルの資格を取る。
(6)改めて高校のサッカー部の監督として、
チームを全国有数の強豪になるまで育て上げて、指導実績を上げる!
(7)JFAのS級コーチ養成講習会の受講申し込みをして、審査の後、受講が認められて、
優秀な成績でS級コーチ資格の認定を受ける!
(8)高校のサッカー部を高円宮杯に導き、JリーグのクラブのU-18チームを次々に打ち破り、
JリーグクラブからU-18チームの育成コーチとしての招聘を受ける!
(9)ついに、指導者としてのJリーグクラブ入りを果たし、育成コーチとして実績を上げ、
トップチームのアシスタントコーチへの昇格を勝ち取る!
念願の監督になった長い山道の後には断崖絶壁が待っていることもある…
…いかがでしょうか?
ここまでくればあとは、
(10)トップチームで上に立っていた監督が、
Jリーグで順位の浮き沈みを経る中で、
連敗が続いてシーズン途中での辞任に追い込まれる事態が生じて、
ついにアシスタントコーチから念願の監督へ昇格する日がやってきます!
サッカー大好き少年が、プロサッカー選手にならないでJリーグクラブの監督になる、
最短ルートの一例は、こんな感じではないかと思います。
でも、こうして、幾多の努力と苦労を重ねながら、夢だった監督の座をつかんだとしても、
チームが勝てなければ、その座を追われるのはあっと言う間だということを、
決して忘れないようにしましょう…。
プロサッカーの監督とは、
厳しい勝負の海を、クラブという島づたいに飛んでいく、
渡り鳥のような職業なのですからね!